中国のスマートフォンメーカーがインド市場を席巻する理由

中国のスマートフォンメーカー

2018年04月09日 10時57分

商売上手な中国スマートフォンメーカー
中国のスマートフォンメーカーは、インドの市場動向を知りながらも、安い携帯電話を売るわけではなく、
実際には高価なスマートフォンを差別化して売っています。
インドのメーカーはこういう戦略をとることができませんでした。中国のメーカーは、はっきりとした戦略を持ってインドに乗り込んできていたのです。
 
Xiaomiはインドに進出すると、まず実店舗の展開に力を入れました。
Xiaomiは現在、インドにある600以上の小売店でスマートフォンを販売しています。Xiaomiのインドにおける実店舗展開は、失敗から学んだものと言えます。
 
Xiaomiは創業当初、インターネットに販路を限定し、流通コストを減らし、端末の価格を安く抑えることで成功しました。
中国のいくつかのメーカーはこれに追随し、「成功」したビジネスモデルでした。
ただ、その後、OppoやVivoなどが、実店舗を全国展開し、より多くの人々にブランドイメージを植え付け、
製品に触れてもらうという手法で大成功を収めました。
これらのメーカーが台頭したことにより、Xiaomiは中国国内でのシェアを大きく落とすことになりました。
Xiaomiのインドでの出店攻勢は、その後も続いており、インド国内ではSamsungに続く人気を誇っています。
 
OppoとVivoはインドでの戦略をより積極的に展開しています。
OppoとVivoの2社は、クリケットやボリウッドなど、インドの人々が好む、国民的娯楽や国民的スポーツのスポンサーとして莫大な広告予算を割いています。また、Vivoは、クリケットのタイトルスポンサーを5年にわたり続けています。
そしてやはり、セルフィー仕様のハイスペックカメラという特徴が、この2つのメーカーのスマートフォンには共通しています。
インドでも若い年代をターゲットとして着実に地位を築いています。
 
インドは中国のスマートフォンメーカー以外にも、Samsungという世界のビッグネームが強さを発揮している市場でもあります。
2017年第2四半期の時点で、インドでトップシェアを獲得したのは、この韓国の巨大メーカーで、
シェアは24%。続いてXiaomiが17%、Vivoが13%、Oppoが8%、Lenovoが7%で続きました。
 
インド政府の奨励策が中国スマホメーカーを後押し
インド政府は、インドで製品を製造、または組み立てすることを奨励しています。
これはインドでのより多くの雇用の創出につながります。また、インド政府は、関税についても、奨励するビジネスに関しては優遇しています。
このような国の政策が、中国のスマートフォンメーカーを優遇し、インドのメーカーを圧迫する…という事実につながっているという声が
業界から上がっています。
 
通信インフラに合わせて新たな端末を導入
スマートフォンだけでは無く、インドのような新興国では、今後、通信インフラが整備されていくでしょう。
そのような際に、もちろん我々もこのようなことを経験してきたのですが、今まで使っていた端末が急に使えなくなるという場面に遭遇します。
そんな時は結局、新たな対応端末に買い換えなければいけないのですが、そのような買い替え需要、さらにその先を見据えた機能を盛り込むことで
消費者に選んでもらう。そういうところも中国のスマートフォンメーカーが商売上手なところです。
 
インドにおける中国の携帯電話・スマートフォンメーカーの巨大な成長について、インドのメーカーが、消費者に、消費者が欲しがっていたものを
供給することができなかった、もしくはわかっていなかった、ことが中国メーカーにインドでの「機会」を与えたように見えます。
インドのスマートフォンメーカーは、消費者が関心を持つ限り、最高品質の製品を提供する必要があったのにできなかった。
そして現在、優れた製品の多くが中国のスマートフォンメーカーによって提供されています。
 
インドのスマートフォンメーカーにとっては、正直、国の政策が変わったとしても、中国メーカーとの戦いに勝てる要素はほぼ無いように思えます。
たとえ、ギャラクシーやiPhoneに似た、18:9のディスプレイを持つスマートフォン作ったとしても、クオリティーが明らかに違います。
また、研究開発についても大きな差があるのではないでしょうか?中国のスマートフォンメーカーが、一番力を入れているのが研究開発です。